【香港で日曜日に現れるピクニック集団!?———Maids in HK?】

香港に来る前から「絶対やる!」と決めてたピクニック集団へのインタビュー。

毎週日曜日なると、香港では街中のあちらこちらにピクニック集団をみかけます。そんなピクニック集団の中でもCentral駅の近くにあるHSBCという銀行の近くの人たちにアプローチしてみました。

HSBCの大きな銀行の建物の下では、全校朝会並みに多くの人が座り込んでいます。なにも知らずにみているとデモでもあるのかなと思いますが、よくみるとかなり楽しそうなんです。私は一緒にピクニックするかどうかをかなり真剣に考えました。

このピクニックで何をしているのかというと、ご飯を持ち寄って食べたり、刺繍をしたり、髪の毛を結びあったり。。。他にも小さなネイルサロンが開かれて、おめかしをして日曜ショッピングに出かける人や、ピクニックをしているなか歩いてスーツケースを売るおじちゃんから買い物を始める人がいます。そんなピクニック集団の9.5割が女性です。この女性たちは何者なんでしょうか?

 

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このピクニックをしている人たちは住み込みで働く、ハウスキーパー・ベビーシッターです。彼女たちは他の国から香港に出稼ぎにきた家政婦さん。私が行ったCentral駅では主にフィリピン人が集まっており、Cause way bay駅といった他の駅ではインドネシア人が多いそうです。そんな彼女たちは月曜日から土曜日まで住み込みで働き、自分の担当によって家事/・子供の面倒を手際よくこなします。そして明るくて元気な性格の持ち主でもあります。

 

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その日、インタビューしようと思って来たものの、やはりビビりました。彼女たちもなんだか知らない人がやってきて話聞いていいですか?といわれるものだから驚き半分照れ半分で、最初はお互いぎこちなかったです。ですが、話しているとだんだん楽しくなって、色々話してくれました。

 

最初に話をしたフィリピーナは、「こうやって銀行の建物の下にいるのは、私たちの休みである日曜日と祝日だけ。住み込みで働いている雇い主によって違うのだけれど、家にいることをよく思わない人の場合は早朝にここに来るの。家にいることが大丈夫だと考える雇い主の下で働いている私は、いつも午後にここに来るかしら。香港はよく雨が降るから、この屋根のある銀行の建物はあつまるのにいいスポットなのよ。公園でいつも集まってる人は大変よね。だって雨降ったら場所変えて、場所取りして、そのあとやっとのんびりゆっくりできるから。もしもあなたも加わりたいならここに来なさい。」といいながらビスケットいる?とお菓子を分けてくれました。

 

次に話をしたのは、友達と待ち合わせをするために待っていたほかのフィリピーナ。「フィリピンにいると、一家族を養う十分な収入が得られないから私人で香港に来て働いているの。今年で8年目になるけれど、周りにいる少し年をとった人たちはもっと長くいるの。香港に来たときは誰も知らなかったけど、こうやって毎週日曜日に集まっていくうちに家族みたいに出稼ぎに来ている人同士がものすごく仲良くなるの。日曜日だけフィリピンの家に帰ったような気持ちになるのよね。」と話して、多くの人で賑わう香港のショッピングモールに出かけていきました。

 

他にも、「私の家族の中で働いているのは私だけなの。旦那は働いていなくて、両親も働いていないの。私がすべてを背負っている感じ。結構つらい時もあるけれど、雇い主がものすごくいい人でね。働いていて楽しいから頑張れるの。」という人もいました。

 

バックグラウンドもばらばら、働いている先の家族もばらばら。。。それでもフィリピンから香港にきて出稼ぎにきている共通点から自然と集まって日曜日にピクニックをしていることでお互いを高めあって、支えあって日々頑張っているみたいです。

 

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実はピクニック集団のうちの一人が私の家にいたことがあります。昔、香港に住んでいたときのことです。母親がどうしても外出しなければならず、当時赤ちゃんだった私を家においていくわけにいかないという理由から、何週かに1日ベビーシッターさんを雇っていました。親戚が近くに住んでいなかったために、メイドさんにお願いしたと両親から聞きました。なんだかメイドさんを雇うという感覚が新鮮で、いいことなのか悪いことなのかわからず、そもそもそのように判断することがあっているのかも分かりませんでした。このようにハウスキーパーやベビーシッターを雇うという日本にあまりないです。雇う雇われる関係に対してもやもやしたので、雇い主にも話を聞いてみたくなりました。もちろんこちらにもインタビューしてみました。

 

まず背景として、香港では共働きが多いのが特徴です。女性もかなり強く、会社の重要ポジションを女性が担っていることも少なくありません。日本よりも未婚率・離婚率が高いというデータもあるほど一人で生きる女性が多いのだとか。。。そんな香港では、家事・子育てはメイドさんのすることという考え方も稀ではありません。朝から晩まで働きに出ている女性に家事や子育てをする時間はなく、お金を払ってメイドさんを雇うことで補います。もちろんメイドをたくさん雇えるのは富裕層であるという事実はあります。すべての家がメイドさんを雇える訳ではありません。

 

縁があり行かせていただいたお家には4人のメイドさんがいました。どんどん奥から出てくるのでびっくりしました。。。香港の典型的なじょせいのようにそのおうちの奥さんはほとんど家にいませんが、仕事が休みな日曜日は子供と全力で遊びます。そのような環境でも子供も母親のことが大好きで、遊んでもらうことが本当に楽しいようでした。子供にとってメイドさんに面倒をみてもらうのと、母親に面倒を見てもらうというのは違う種類のことだと捉えているようで、子供の中でもメイドさんが生活の一部になっていることが目に見えました。

 

雇い主である人は、「メイドさんたちは家族よ。でも一線があるかな。出かけるときは連れていくときと、連れて行かないとき両方があるの。くっきりここまでというという一線はわからないけど、例えば祖父母から孫まで集まる家族の食事には連れて行かないけれど、お友達とのランチに子供を連れていくときは一緒に来てもらうわ。子供のベビーシッターをしてくれているフィリピーナはこれで6年目になるわ。本当に助かっているし、子供も大好きだからずっと働いてほしいなって思うの。でも子供が育つまでね。」

 

今回のインタビューを通して、メイドさんと雇い主の両方の意見が聞けて良かったと思います。というのも、メイドと聞くといい印象があまりないのが正直なところだったからです。気持ちよく働いている彼女たち、そしていい関係で彼女たちを雇っている人をみてほっこりしました。ですが、これも私がたまたま運がよく、メイドさんと雇い主さんともに気持ちよく働いている人達にあったということもあるのだとは思います。

 

ザ・香港の日曜日を観察してまた新しい一週間を迎えます。みなさんいい一週間を~。